中村美智留さんのちょっといい話

2024年4月発行/第119号

M.Y.S Kobe(メイクユースマイル神戸)代表
中村美智留さんのちょっといい話

神戸から広がる笑顔の輪
みんなの夢を応援しよう

中村美智留さん なかむらみちる

2015年M.Y.S Kobe(メイクユースマイル神戸)の活動を始める。2022年「ひょうごユニバーサル社会づくり賞 知事賞」受賞。神戸市内中心に「ユニバーサルファッションショー」「こどもの居場所」「手話パフォーマンス」など、子どもたちに共生社会のすばらしさ、楽しさを伝える活動を続けている。

 

「誰かの夢を叶え、笑顔にするお手伝いができたらいいね」。[メイクユースマイル神戸]はそんなささやかな思いから活動が始まり、9年後には共生社会をテーマにした「虹色フェスティバル」という数百人規模のイベントを開催。障がいの有無に関係なく、子どもたちが楽しく交流する姿は深い感動を呼びました。代表の中村美智留さんにお話を伺いました。

誰かを笑顔にすることは
自分もまわりもハッピー!

子どもが好きで、英語がちょっと得意(笑)。そんな私が子育てをしながら家でできる仕事として選んだのは英語教室の講師でした。レッスンを通して生徒さんの成長を見るのは楽しいのですが、生徒さんやお母さんたちと関わるなかで、いじめや不登校などの悩みを聞くことがあり、学習面の指導だけでは不十分でないかと思うようになりました。ちょうどそのとき、高校時代の友人から「知り合いが無党派で首長選に出るから応援しよう」と声をかけられたんです。ともに青春時代を過ごした同級生が市民主役のまちづくりについて熱く語る姿はとても刺激的で、自分も社会に関わりたいと強く思いました。同じような思いを持った仲間が集まり、これまで社会参加できていなかった女性も参加できるようなイベントをしようとおおいに盛り上がったんです。活動のテーマは「誰かの夢を叶え、笑顔にすること」と決めました。

活動場所は三宮にあるテナントビルの一室。建物の所有者は市民活動をよく知っている人で、「中途半端な気持ちではダメ。活動を続けるために毎月1回、人が集まるイベントを行うこと」が部屋を借りる条件でした。2015年、誰かの夢を叶え、笑顔になってもらう活動がスタートしました。記念すべき第1回目のテーマは、今まで縁がなかったスカートを身につけ、ドレスアップしてみたいというラーメン店の女将さん(80歳)の夢を叶えること。身近な人にも声をかけ、総勢20名のファッションショーを実現させることができました。また、日本酒大好きの女性は灘の酒をもっと知ってもらうのが夢。50人ほどが集まり、灘五郷の酒を堪能した回もありました。

多種多様な夢を叶えるイベントを続けていくうちに、障がい者の生活支援施設で働く女性と知り合いになりました。彼女の夢は、重度の障がいがあっても行きたいところに出かけ、人と出会う機会を作ってあげること。この夢がユニバーサルファッションショーを始めるきっかけで、これまでの取り組みがヒントとなりました。2016年、板宿本通り商店街にレッドカーペットを敷き、個性あふれるモデルたちのユニバーサルファッションショーが開催しました。施設でじっとしているだけと思われていた重度障がいの人が「着飾った自分を見て~」と猛アピールしたり、立つことのできなかった人がおもむろに立ち上がるなど、モデルたちの秘めているパワーのすごいこと!車いすのモデルと握手し、涙を流す観客の姿もありました。私自身、障がい者福祉に対する関心は低かったのですが、1回目のショーでやられてしまいましたね(笑)。モデルも観客もボランティアも楽しく参加できるユニバーサルファッションショーをライフワークにしたいと思いました。

共生社会のすばらしさを
次代につなげたい

ユニバーサルファッションショーは須磨海岸や須磨寺、垂水区の商業施設など会場を変え、回を重ねるたびにネットワークが広がりました。最初、衣装はレンタルでしたが、3回目は神戸高塚高校の生徒さんがモデルの希望を聞いてデザインし、それを神戸工業高校デザイン科の生徒さんが授業の一環で約1年かけ製作してくださいました。障がいをもつ子どものモデルも増えました。そして6回目は「虹色フェスティバル」(神戸市西区)を開催することができました。地元に戻り、地域の子どもたちに思いを伝えたいというのが私の夢でした。

現在、メイクユースマイル神戸は子どもの居場所活動「みんなでスマイル」(コープ西神の集会室にて月1回実施)、手話パフォーマンスグループ「虹色スマイル」、ユニバーサルファッションショーを3本柱に活動しています。子どもの居場所活動で手話を練習したり、ユニバーサルファッションショーで手話パフォーマンスを披露する、あるいはモデルたちが団体のメンバーとして主体的に参加するなど、さまざまな相乗効果を生み出しています。みんなが自分らしく輝いている姿はまわりを元気にさせてくれます。しんどいと言えば、きっと誰かが助けてくれる……そんな共生社会のすばらしさを子どもたちに伝えていきたいですね。

TOPへもどる