動物と共生するまちづくりの会の物語り

「飼い主のいない猫」の
トラブル解決に向けて

西保 昇(コープこうべ職員)

10月1日(日)、明石の魚の棚商店街で開催された猫の譲渡会を訪問し、主催者である「動物と共生するまちづくりの会」から、「地域猫活動」についてお話を聞きました。

飼い主のいない猫は、人間に捨てられたり、迷ったりした猫が繁殖したもので、その猫をその場から排除するだけでは時間がたてば元の状態になり、根本的な解決にはなりません。
「ネズミ算」ならぬ「ネコ算」という言葉があるそうで、メス猫は生後6か月~12か月で子猫を産めるようになり、年に2~4回出産し、1回に2~6頭の子猫を産むため、単純計算すると1頭のメス猫が2年後には70頭以上になるそうです。驚きですね。
飼い主のいない猫が増えると、「猫は迷惑(糞尿、鳴き声等)」という声と「猫が可哀そう(空腹の猫を助けたい、不妊手術にはお金がかかる)」という声が出て、住民同士のトラブルとなり、引っ越しをせざるを得ない事例もでてきています。

そうしたなかで、「地域猫活動」は、猫に去勢・不妊手術を施し、元の場所に返し、餌やトイレの管理をし、一代限りで自然に数を減らしていこうという活動です。
餌は決まった場所でやり、置き餌をせず、猫好きな方の庭や迷惑になりにくい場所にトイレを作り、トイレ周辺の掃除を行う。こうしたことを地域で取り組むことで、猫と一緒に暮らせる社会に近づけようとしています。
さらに、動物の遺棄、虐待は犯罪であることの啓発普及や、動物のいのちを通して、子供たちに「いのち」の大切さを伝え、いじめの無い社会づくりをすすめています。「動物と共生するまちづくりの会」は、活動の理解を深める説明会や「猫の捕獲、避妊手術、元の場所に返す」等のお手伝いをしています。

市民による要請活動の成果として、明石市には「飼い主のいない猫の去勢・不妊手術助成金制度(雄5千円、雌1万円上限)」もできましたが、一般に手術代はその倍以上かかるので、獣医師の協力も仰ぎながら、地道に活動を進めておられます。そして昨年度、捕獲・手術した猫はおよそ400頭にのぼります。

「飼い主のいない猫」の問題だけでなく、生体販売にも問題があり、猫の健康や福祉に十分配慮するブリーダーばかりでなく、命ある猫をモノのように劣悪な環境で生産する繁殖業者、気軽に購入しては飼えなくなったと捨てる無責任な消費者、収容した犬猫を「殺処分」する行政等々、我が国の課題は大きいですし、先進諸国の中では遅れているようです。こうした背景も踏まえながら、 地域猫活動のなで保護された猫や、捨てられ保護された猫たちに温かい家族を探す「保護猫の譲渡会」が開催されました。(写真)

人も猫も共に生きることのできる社会を目指して!
興味のある方は、インターネットで「動物と共生するまちづくりの会」と検索してください。

2017年10月

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