鬼澤康弘さんのちょっといい話

生活協同組合コープこうべ 環境推進統括

脱プラスチックのシンボル「マイバッグ」は
誰もが楽しめるエコなライフスタイルです

川西市在住。大学時代、トルコ共和国の
歴史を研究するため、約2か月トルコ
全土を放浪し、隣接国すべての国境を
訪ねる。99年度入所。宅配、本部など
数所属を経験し、2019年6月より現部署。
「世界を旅し、見識を深めた経験が、
社会事業に熱心なコープこうべの入所に
つながったのかも。環境問題はライフワーク
でもあるので力が入ります」。
趣味はトライアスロン(毎年大会出場)

「昔は手提げかごを持参して買い物したものよ」と懐かしがるのは昭和の世代。
令和のいま、さまざまな年代がお気に入りのマイバッグに、話の花を咲かせます。
大量の使い捨てレジ袋から脱却し、マイバッグが定着するまでには先陣ともいえる
コープこうべの粘り強い運動がありました。
これまでの歴史とこれからについて鬼澤康弘さんにお聞きしました。

マイバッグ運動は
時代とともに進化した

2020年7月1日からレジ袋の有料化が義務付けられたのをご存知でしょうか。
これは使い捨てプラスチックによる環境への負荷を低減するために省令が改正された
ものですが、遡ること42年前(1978年)すでにコープこうべでは「買い物袋再利用
運動」というプラスチックの使用を減らす運動が始まっていました。
70年代といえば、オイルショックの影響で品薄の不安から、トイレットペーパーや
洗剤などの買い占めが多発し、社会が大混乱した時代です。
このような大量消費のライフスタイルを見直し、モノを大切にしようという反省を基に
進めた取り組みのひとつがレジ袋の再利用運動でした。

当時のしくみは使用済みのコープのレジ袋を再利用するとポイントがたまり
買い物代金が値引きされるというもの。
できることからの取り組みでしたが、徐々に賛同者が増えていきましたね。
1991年には「買い物袋再利用運動」からどんな袋でもOKの「買い物袋持参運動」と
なりました。

その次の転機は阪神・淡路大震災が起きた1995年です。
震災による大量の瓦礫やごみが、改めて資源の大切さを考え、シンプルなライフスタイルを目指す大きなきっかけとなり、同年6月からレジ袋の有料化に踏み切ったのです。
金額は今と同じ5円。レジで支払うのではなく、サッカー台(荷造りスペース)に
設置した代金箱にお金を入れるセルフ方式のため、組合員にとっては受け入れやすい仕組みだったようです。ただ、5円玉の両替でレジが煩雑になるとか、代金の入れ忘れなど少なからず課題はありました。

マイバッグ運動が大きく前進したのは2007年。
レジ袋代金をレジでお支払いただく精算方式へと転換した年です。
前年に成立した「改正容器包装リサイクル法」がレジ袋の削減を焦点にしていたので、
これが追い風になったといえます。
この年、コープこうべは先進性と約30年間のレジ袋削減運動が評価され、
「容器包装3R推進 環境大臣賞最優秀賞」を受賞しました。

コープこうべにおけるマイバッグ持参率は1994年の14%に始まり、1995年は77%、
2007年は87%、それ以降は約90%をキープしています。
持参率の上昇とともに、マイバッグも多様化し、おしゃれに楽しむ人が増えてきました。マイバッグは暮らしに密着したシンボリックな環境運動といえますね。

いただいたレジ袋代金は環境活動に全額活用するなど、コープこうべらしい取り組みも
一方で行っています。例えば、「食と環境」に関する学習会やコープの森・社家郷山(西宮市)の森林整備、新加入組合員にお渡しするマイバッグの製作等の費用として活用し、「見えるカタチ」で環境活動に貢献しています。

〝NEXT〞を合言葉に
もっと環境にいいことを

マイバッグが広く浸透してきたとはいえ、持参率90%前後で頭打ちになっているのが実情です。そこで今年6月から「マイバッグ運動NEXT」として、ギアを上げた脱プラスチックの取り組みをスタートしました。コンセプトは3つ。

1つめは【減らす】。無料でお渡ししていた衣料品や住居関連のレジ袋を有料化し、
生鮮品についてはレジで職員がポリ袋に入れるのをやめ、セルフで備え付けのポリ袋を
使用していただくことで更なる削減を目指します。

2つめは【増やす】。マイバッグをお持ちでない方に「レンタルバッグ※1」(無料)を案内し、袋の必要性を実感していただくことで持参率アップを図ります。
2000年から展開していますが、さらに強化します。
また一部店舗では、家に余っている紙袋を店に持ち寄っていただき、レジ袋代わりに使う「シェアバッグ※2」も実施し好評をいただいています。生協らしい、助け合いのしくみにつながることを期待しています。

3つめは【広める】。
マイバッグ運動がなぜ始まり、どのような変遷を経て、今後どう発展させていくのか。
そのストーリーをポスターやリーフレットを通して伝え、使い捨てプラスチックや
海洋ごみなど、身近な問題について考え、行動するきっかけにしていただきたいと思います。
学校では「SDGs(持続可能な開発目標)」など世界を意識した環境教育が行われています。子ども世代はもっと素直に環境保全の考えを受け入れていくでしょう。そのためにもいま私たち大人がどのような方向に社会を導くのか、真剣に考えたいですね。

※1、※2…一時的に利用を休止している場合があります。

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