兵庫県喉摘障害者福祉協会 神鈴会の物語り

神鈴会を訪ねて

佐伯和彦(コープこうべ職員)

「喉摘言語障害者がいる限り会を存続さたい」そう語るのは兵庫県喉摘障害者福祉協会

神鈴会代表の和田修さん。自身も喉摘障害者である。

現在、神鈴会の会員は、230人であり兵庫県在住の喉摘障害者の約一割に当たる。

県内の9か所で月に1~2回のペースで代用音声習得の為の発声教室を開催している。

 今回、取材で訪れたのは神戸市立総合福祉センター中央教室である。

和田さんに案内されて教室に入ると和やかな雰囲気ながらも程良い緊張感が伝わってきた。

和田さんに教室のプログラムを伺うとメンバーの中で指導力のある方(発声指導員)がワンツーマンで手術後まだ声が出ない人を指導しているとのこと。

発声方法は食道発声法、シャント、電動式、笛式と個人のレベルに応じたトレーニングをしている。発声方法により習得年数が異なるが、1週間から1年かかるという。また、ある程度体力も必要で特に食道発声では腹式呼吸で声を出す為、日頃の生活にも気を配り体力維持に努めなければならない。

教室の雰囲気は緊張感の中にもお互いを思いやる温かみを感じる。喉摘障害の原因は主に喉頭がん等が原因で、発症する主な要因は、喫煙と飲酒である為、男性の高齢者が圧倒的に多く会員の九割を占める。

喉摘障害の多くは自身の喉摘出後はショックで引きこもり気味になってしまうケースが多いそうである。

そこで、和田さんは教室に参加することで会話力を向上させると同時に障害者どうしの交流を通してメンタルヘルスに繋がればと考えている。

教室は県内9か所あるが、年に一度は有志で日帰り旅行を企画して会員相互の親睦を図っている。

神鈴会は、発足から49年が経つが30年前には600人の会員がいたという。しかし、時代の流れで社会福祉制度の充実や喉頭がんの発生要因である喫煙者の激減もあって会員数は減少の状況が続く。しかし、それは喜ばしいことと和田さんは話す。一人でも多くの喉摘障害者の為にと教室がある日は毎回入会受付をしている。神鈴会は兵庫県唯一の団体であり喉摘障害者の受け皿になることは今後も変わらない。

障害はあっても健康の基本は健常者と変わらないと笑顔を絶やさない和田さんの柔和な表情から神鈴会の温かさを肌で感じた時間だった。

 

『会員さんから一声』

手術後は発声ができないと説明を受けていましたが!やはり現実となり、今後の生活は不安でたまりませんでした。

そんな時、担当医より神鈴会の紹介をうけ、早速発声教室を見学にいきました。なんとみなさん楽しく会話しておられます。「本当に手術を受けられた方ですか」と筆談で訊ねました。

「声帯はありません。気管孔で呼吸しています」と口で喋って?おられます。

私でも喋れるようになるでしょうか?おそるおそる紙に書きました。

「皆さんはじめは誰でもそうです。そのためにこの教室があります」との答えでした。今までの不安が薄らぎ、その場で入会し、教室のある日は欠かさず参加しました。お陰様で今は日常生活に支障のない程度の会話ができるようになりました。教室では発声練習ばかりでなく、身体のケア等の話をしていただいて、精神的な支えにもなっています。

ガンで声を失って得たものは「妻とスーパーへの買い物に行くようになったことです。健康な時には考えもしなかったことです。さらに新しい交友関係が開けたことです」

2018年10月

TOPへもどる