高橋眞琴さんのちょっといい話

2010年1月発行/第62号

神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程後期課程
高橋真琴さんのちょっといい話

高橋眞琴さん

神戸市在住。特別支援学校教員。神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程修了後、同ヒューマン・コミュニティ創成研究センター障害共生支援部門学外部門研究員を経て、現在、同博士課程後期課程において、教育とインフォーマルな支援の両側面から実践的研究をおこなっている。

障がいのある方への理解と啓発活動につながるプログラムを研究したい

障がいのある人たちが地域のなかでイキイキと暮らしていくためにはどのようなプログラムが必要でしょうか。高橋眞琴さんは2009年度の当財団調査研究助成を受け、地域における障がいのある人々の包括的生活支援モデルを検討したいと言います。

多くの出会いが研究への道に

療育が必要なお子さんの支援について関心をもったのは、子どもを出産したときの「出会い」がきっかけでした。うちの子どもは新生児集中治療室に入院していましたが、入院中にいろいろなお母さん方の今後の子育ての不安をお聞きしました。そのような体験から特別支援学校での仕事を希望。環境が変わったことで勉強も必要でしたが、子どもたちの豊かな感性や純粋さ、笑顔に感動するなど多くの発見もありました。

そんななか、母親の看護が自分自身の人生について考える機会となり、大学院に行こうと決意しました。大学院での実践的研究は様々な視点で物事を考える契機となりました。とりわけ指導教官の津田英二先生のご研究に対する熱意には深い感銘を受けています。先生の指導をいただきながら、「地域における障がいのある人々の包括的生活支援モデル」について研究することになりました。

当事者と社会をつないでいこう

インクルーシブ教育(すべての子どもたちの多様性を受け入れる教育)がユネスコで提唱されて以来、あらゆる立場の子どもが共に学ぶという考えが主流になっています。しかし実際は、そのような立場の子どもたちが地域の方と触れ合う場面になかなか遭遇しにくいものです。特に、重い障がいのある子どもたちが、どういうふうに社会とかかわっていけばいいのか。その問題解決として、当事者と地域やボランティアをつなぐ媒体(実践プログラム)が必要だと考えました。

現場での取り組みを通じてプログラムを検討していこうと「のびやかスペースあーち」(神戸大学大学院のサテライト施設)での“居場所づくりボランティア”として支援活動に参加するほか、2008年には学童保育「つむぎ」(東灘区)の設立、運営に地域住民ボランティアとしてかかわり、現在も活動を続けています。

地域が参加できる取り組みを

「つむぎ」は、学童の放課後を充実させるだけでなく、地域の人たちと楽しくかかわりあえる関係づくりをめざしたいと考えています。つまり、障がいのある子ども、ない子ども、おとなも一緒になって楽しみ、悩み、成長していく場づくりです。その一環として学童保育のない午前を利用した、団塊世代の居場所づくりもおこなっています。スペースを共有することで、地域の子育てや障がいのある子どもの課題について関心をもち、「つむぎ」に参加するきっかけになるのではと思います。実際、居場所づくりに参加された方で障がいのある子どもの支援(送迎)をしてくださっているケースもあり、活動を見守ってくださる地域住民がおられることは心強いものです。

これからも教育や研究活動を続けながら、地域住民の障がいのある方への理解と啓発活動をおこない、地域におけるボランティア意識の向上を図っていきたいと思っています。

*「のびやかスペースあーち」では「居場所づくりプログラム」のボランティアを募集中。障がいのある幼児さんや学齢期のお子さんもいます。活動は金曜の午後3時~6時30分。場所は神戸市灘区神ノ木通3-6-18。問合せは078-805-6090(活動時間内)神戸大学津田英二先生まで。

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