川中大輔さんのちょっといい話

2016年1月6日投稿

シチズンシップ共育企画代表・*ファシリテーター
川中大輔さんのちょっといい話

 

「市民」になるための意識と行動を育み、思いをカタチにしませんか

「川が汚れているとお魚さんがすめないよね」。小学生時代の疑問がファシリテーター・川中大輔さんを形成する出発点でした。NPOや市民組織のマネジメント研修や協働まちづくりのワークショップでファシリテーターを務めるなど、活動者の頼れる存在として全国中にひっぱりだこ。当財団の運営委員でもある川中さんに市民活動にかける思いや財団に対するメッセージについてお聞きしました。

川中大輔さん

川中大輔さん(かわなか・だいすけ) 神戸市生まれ。
関西学院大学社会学部卒、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了。98年から青少年支援・環境・まちづくり・市民活動支援の市民活動に取り組み、03年にシチズンシップ共育企画を設立。現在、日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)事務局長、立命館大学非常勤講師などを務める。共著に『シティズンシップ教育で創る学校の未来』(東洋館出版)。

市民活動で得られる価値を多くの人に伝えたい

小学生時代は、「総合学習」を核に据えて教科学習を展開する授業を受けていました。川の水をくみに行った上で、理科の授業で水質を分析し、家庭科では生活排水について学び、国語の時間は関連の図書を読んだりしました。すると自分も川を汚している一員だとわかるわけです。自分の行動が問題を起こすことにも解決することにもつながるという気づきは大きな発見で、社会問題に関心を持つようになりました。ところが中学校では徹底した管理教育と受験勉強のため、学校で学ぶ楽しさや知る喜びを見失っていくことに。日本が子どもの権利条約に批准したことを報道で知り、子どもの意見も聴いて教育のあり方を考えてほしいと1人で教育委員会に提案書を届けたこともありました。意見があれば発言する…私にはごく自然の行動でしたが、扱いにくい生徒だったと思います(笑)。

高校でも教育のあり方や学生自治に疑問を感じると、提案をまとめたり、先生に詰め寄る始末。相変わらず、めちゃめちゃでした(笑)。教育環境を変えたいと思ってもやり方がわからず、徒労感しか残らない。そんなとき学生ボランティア組織に誘われ、子どもの野外教育キャンプを手伝ううちに、一緒に創り上げていく喜びに開眼。自らが思い描く教育の形があれば、それを要望するのではなく、自分たちで学びの場を創ればいいことに気づいたんです。その後、多くのNPO活動者と出会い、たとえば介護保険制度や子育てひろばなど、市民の実践が行政を先導し、社会システムが創られている事実も知りました。このような体験を同世代の大学生に言うと「その時間、バイトしたら儲かるのに」という反応がほとんど。自らが望む社会変革を実現しうる活動であり、その過程で気づきや成長があり、人とのつながりが豊かになるといった市民活動の価値を伝えていきたいと強く思いました。

イギリスで制度化されていたようなシチズンシップ教育(市民性教育)を日本でも展開しようと大学院在学中に[シチズンシップ共育企画]を設立。「私」の思いを大切にしながら、社会参加していく市民が育つことを目指して、社会を動かす一員としての自覚や自信、問題解決能力を育む学びの場づくりにも力を入れています。またユースACTプログラムでは高校生対象に参加者が自らの問題意識に立脚したボランティア活動のプロジェクトを企画運営する実践体験機会を学校外で提供しています。

仲間を増やすには身近な誰かを誘うこと

草の根の市民グループが社会で影響力を持つレベルになるには、ともしび財団のような助成財団は貴重な存在ですが、資金提供に留まらず、活動のノウハウを学び合ったり、団体間の協働を促すしくみができれば、ステップアップにつながります。そのような分野も応援してほしいですね。

活動者に提案したいのは身近な誰かを「誘う」こと。ちらしやHPの作りっぱなしでは、誰かを誘ったことになりません。多勢の無関心層を動かすのは難しいので、関心のありそうな身近な人を誘ってみては。人は誘ってくれると嬉しいものです。あなたの活動を遠目で見ている周りの人に働きかけ、活動する喜びを分かち合っていけるといいですね。

*ファシリテーターとは、参加型の会議や学習、創造の場での進行・促進役

TOPへもどる