支えあうということ
公私ともに忙しかったため、2週間ほど前の話を今頃…で恐縮なのですが。
休みの日に、元東京大学医学部の脳外科医で若年性アルツハイマーを発症された若井晋さんとご夫人の克子さんのお話を聞きに行った。非常に配慮の求められる難しいコーディネーター役を見事に務められたのは、当財団の講座でもお世話になっている都村尚子先生。
その日、実はわたし自身、あまり体調よろしくなく、躊躇しつつ出かけたのだったが、それすら忘れそうになるほど心を揺さぶられた時間だった。
印象的だったのは、時に沈黙をはさみつつ、コーディネーターの問いに答えられる若井さんに寄り添い、受け答えをさりげなくサポートされている克子さんの姿だった。どれほどの葛藤と絶望をくぐってこの場にこられたかと考えると、人を支える、支えあうということの重みをずしりと感じさせられた。
そして、克子夫人が引用されたフランクル(アウジュビッツから生還した心理学者)の印象的な言葉。 『役に立つ人間より、苦難の中にいる人間のほうが、価値がある』
発病前は、脳外科医として、人の「役に立つ」人間だった夫が、病気になり、大学を辞め、まさに「苦難の中にいる」人となった。でも今の彼はわたしにとって価値のある人なのだと述べられた克子さん。人として生きていくうえで、また、いまの仕事をしていくうえでも、忘れられない言葉となった。 本当に、ありがとうございました。 (M.K.)

